第6学年総合的な学習 「伝えよう! 日本文化in Okayama」
             岡山市立西小学校 
                         教諭 藤井 佐代子  1 単元目標
 ○ 岡山市在住の外国人に日本文化を紹介するために,資料や岡山カルチャーゾーンで 
    の取材活動などを通して,岡山にある日本文化を見つけ詳しく調べることができる。
                                 【課題解決能力】
 ○ 調べたことをガイドブックにまとめ,外国人に日本文化をわかりやすく工夫して伝  えることができる。                                 【表現力】
 ○ 身近な日本文化を誇りに思い,日本人としての自覚をもち,これからも日本文化の  良さを伝えたいという気持ちをもつことができる。            【人間関係能力】
2 指導上の立場
(1) 本単元では,岡山在住の外国人と交流する中で,岡山カルチャーゾーンから発見し  た日本文化の良さを紹介するためにガイドブックなどを作成する。現地取材で得た発  見や驚きをわかりやすく伝えると共に,身近な日本文化を誇りに思い,もっと日本文  化の良さを伝えたいという気持ちをもつことができるようにしたい。
(2) 児童は,5年生で外国人との交流を通して,日本のことをあまり知らない自分に気  づいてきた。また,6年生の国語科「ガイドブックをつくろう」で,目次づくりを利  用した取材や構成について学んできたが,文章を精選してわかりやすく伝える力は,  まだ不十分である。本単元では,外国人に発信することにより,わかりやすい日本語  を書く力を伸ばしていきたい。
(3) 指導に当たっては次のように工夫した。
 @ 単元のはじめに,岡山在住の外国人との交流をして,相手国の文化の良さを知ると  ともに日本の良さを知りたいという強い願いがあることに気づかせ,相手意識や目的  意識をもって日本文化を探すことができるよう単元を構成した。
 A発想の独自性が生まれるように,カルチャーゾーン周辺を実際に訪れてディジタル   カメラで取材する活動を取り入れた。また,伝える内容や方法が相手にとって妥当性  かどうかを吟味するために外国人からアドバイスを受け る場を設けた。
3 単元の構想(全25時間)     
◆1次1時
  5年生で学んだ外国のお米料理や,トルコの民族衣装やU.K.の国旗の意味などを学ん だことをもとに,外国のことをもっと知り,日本のこと を伝えたいという意識をもつ。 
◆1次2時
  岡山在住の外国人5名と交流し,外国の文化の良さや, 日本との類似点や相違点に気づき,岡山にある世界にほ これる日本文化を伝えようという意識をもつ。
◆2次1時
  岡山の世界に誇れる日本文化の内容・発見できそうな場 所・伝える方法を話し合い,調べる計画を立てる。
◆2次2・3・4時                    岡山カルチャーゾーン周辺について,本やインターネ  ットなどで調べ紹介する場所や日本文化の内容について  見通しをもち,取材行動計画を立てる。

◆2次5・6・7・8時   
   取材に行く。
◆2次9・10時  
   新しく発見した日本文化について調べたり,伝えたい日本文化の内容をまとめる。
◆3次1時
  岡山にある日本文化のどんな良さを伝えるのか,話し合 う。
(伝えたい日本文化について話し合う中で,畳やお籠や灯篭 や茶室など,心が和み自然 との調和を重んじる日本文化の良さを外国人に知らせたいという意識をもった。) 
◆3次2・3・4・5時
  ガイドブックをつくる。
(外国の人が喜ぶようにという意識をもって構成や目次,写真などの配置,見出しを工夫 し,ひらがなやルビを使って書き表した。)
◆3次6時
  作成途中で外国の人からアドバイスを受ける。
 わかりやすい日本語にしようという意識をもった。
◆3次7・8時 
             
 
 ガイドブックの続きをつくる。
◆3次9・10時  
   ガイドブックを製本し完成する。      
◆4次1時
  ガイドブックを外国の人に渡す。
(外国の人から,「初めて知ったことがあり後楽園に行っ てみたい,ガイドブックがよく できている」という感 想をもらい,達成感をもつことができた。)
◆課外
  生活に学びを生かす。  
4 考察
 5人の外国の人から,外国文化について聞くことにより,国による違いや類似点がわかり,伝えたい日本文化を探す手がかりを得ることが出来た。また,岡山にある日本文化をもっと知りたいという外国人の希望に対し,児童は後楽園と岡山城を真っ先にあげ,意欲的に調べ活動に入っていった。発信相手が,外国人であることと,国語科で学んだガイドブックづくりが生かせることと,現地取材が可能であることが,児童の興味を持続させるもとになった。
 一人一台のノートパソコンを使用できるため,インターネットで調べたことやディジタルカメラで撮影してきた映像を各自で文書ソフトに取り込み,それをもとに,情報を取捨選択できた。それぞれが,思い思いに内容を工夫してガイドブックをつくることができたのも,こういう環境によるところが大きい。伝える内容を話し合う時にも,映像を提示しながら,日本文化の良さを吟味することができ,意見がでやすい利点があった。
 今回は,とらえさせたい日本文化の特徴や観点に児童が気づきやすいよう,外国人の話の内容が工夫されていた。外部講師を呼ぶ際の連携の重要性を感じた。